LINE
誰よりも、大切にしたかった。
誰よりも、大切にしてくれた。
「お願いだから、帰ってください」
誰よりも優しく、誰よりも私を傷付けないようにと、ずっとずっと大切にしてくれていた人に、言わせてしまった言葉。
薄暗い部屋で、必死に感情を抑えながら、少し震えていた君の背中と、幸せそうに笑う大好きだった笑顔を、あれから毎日、思い出す。
そんな人を、私は一体
何度、追い詰めて、
どれだけ、傷付けてきたんだろう。
あの日から、既読にならないLINEを確認する度、胸が締め付けられる。
— 苦しい。
けど、きっと君のあの日の君の辛さに、そして、これまで私がしてきたことに比べれば、きっとこんな痛みは大したことない。大好きだったあの笑顔を、幸せだったあの時間を、壊してしまったのは全て自分なのだと思い知る。
そうやってどんなに涙を流して、後悔しても、
笑うことのできてしまう自分に、
ご飯を食べることのできてしまう自分に、
そして何より、頭の片隅で、
「きっと許してくれるはず」
なんて、都合のいいストーリーを思い描いてしまう自分に、嫌気がさす。
それでも今日も、LINEは既読にならない。
ただそこにあるのは
私が、君を大切にできなかったということと
君は、私を大切にしてくれていたという
正反対の事実だけ。