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本当に大切な人を ちゃんと大切にできる私に。

「変わっていたい私」と「変わらない君」<3>

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いつの間にかもう別の話題で盛り上がっている彼らを横目に、
私は少し中学時代を思い出していた。


間違いなく、あの3年間が私にとって大きな転機だった。

そう言えるほど、色々なことがありすぎた。
綺麗な世界も見たし、汚い世界も、たくさん見た。

そして、たくさん救われたし、たくさん傷付いた。

 

あの時、自分を傷付けた人たちを許すことなんてできるほど私の心は広くないけれど
それでも、ずっと腹の底に渦巻いていた憎しみのようなどす黒いものはかなり薄くなった気がする。

なにより今、こうしてあの頃と何1つ変わらず、笑っている彼らを見ていると
あれほど辛かったことさえも、全て必然だったように思えてくるから、驚くほどくだらない話でここまで盛り上がっているこの人たちは、本当はすごい人なのかもしれない。

  

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とは言え、知らない人が見れば、どう見てもただの陽気なおじさん3人組にしか見えないけれど。笑


そんなことを思いながら彼らの会話をBGMのようにして、過ごす。
無理に話に入ることを求めないし、それでいて絶妙なタイミングで話を振ってくる。

ここにいて、いいんだ。と思わせてくれる。
本当に不思議な人たちだ。


今にも限界に達しそうだったあの日、不思議な夢を見た。
そして今、こうして彼らと同じ時間を共有できていることがたまらなく幸せだった。

きっと今だったからこそ、この奇跡に素直に感謝することができた。

そんな風に過ごす時間はあっという間で、時計は0時をとっくに過ぎていた。
本当はもう少しこの世界にいたい気もしたけれど、明日も仕事なうえに、
少量のアルコールと久々の幸福感が混ざり合って、眠気を誘い始めた。



「お前、どうやって帰んの?」

飲み会の帰りはいつもそう。
初めから1人で歩いて帰るつもりだった。

今日、こしてここで同じ時間を共有できたことが奇跡だと思っていたし、本当にそれで充分だった。

ただ、まだ奇跡は続く。

 

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「「俺らも、歩いて帰るよ」」


大学を卒業してからの飲み会は、みんなタクシーか代行で帰っていった。
だけど私はアルコールで少し火照った身体で、夜風に当たりながら帰るのが好きだったし、マンションも街から遠くはないので、いつも歩いて帰ることにしていた。

だいたい誰にも賛同されなくて、1人で帰ることが多いから、
今日も1人だと思っていたから、予想外の返答にひどく間抜けな顔をしていたと思う。



リクとは帰る方向が同じで、ユウキが泊まることになっていたホテルは、偶然にも私のマンションの目の前のホテルだった。

 

「懐かしいな、こうやって3人で並んで歩くの」

 

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そう。私たちは15年前もよく、こうして3人で歩いていた。